~振動伝達メカニズムを単純モデル化し対策する~
【対象者】
製品の開発・設計・生産技術・品質保証に係わる技術者
【概要】
振動問題は、製品開発において避けては通れない課題です。共振によって破壊に至る問題は当然のことですが、最近はユーザの静粛化にたいするニーズの高まり、想定以上の音対策・振動対策が求められることがあります。しかし現状は予期していた現象ですらその解析や低減に苦労することが多いのが現状です。その原因として、真の振動伝達メカニズムを把握しないで対策を打っていることが考えられます。
問題を把握し的確な対策を打つには、問題の本質を失わない範囲で、単純なモデルに置き換え、対策案を検討することが重要となります。そのため本講座では、振動工学の基礎を学び、遭遇する振動問題に対するモデル化の考え方を解説します。最後にそのモデルを使ってどのように対策するのか、その基本的な考え方を学びます。
【目次】
第一部 振動編
1章~4章で振動工学の基礎と、対象を簡単なバネ・マスモデルに置き換えるための考え方、事例を学ぶ。
第1章 振動工学の基礎
振動研究の歴史
力学モデルと自由度
運動方程式
振動波形の種類
単振動
単振動変位・速度・加速度の関係
単振動のベクトル表示
単振動のベクトル表示変位・速度・加速度の関係
① 同一振動数で振幅が異なる場合
② 同一振幅で振動数が近い場合
振動に使われる用語の補足
(参考)単振動のベクトル表示
第2章 減衰のない1自由度系の振動
ばね定数、振り子
単振動と単振り子(自由振動)
調和励振力を受けるばね-質量系の運動(強制振動)
第3章 減衰を伴う1自由度系の自由振動
減衰を伴う1自由度系の自由振動
第4章 減衰を伴う1自由度系の強制振動
調和励振力を受ける1自由度系の振動応答と共振
力の伝達率と振動絶縁の基礎
(参考)複素平面の極座標表示
第5章 回転体の振動
回転運動系の振動
(問題)ばねの固有振動公式から類推して、円盤の振動公式を考えよ
集中定数系モデル
たわみ振動
回転体の不釣り合い静不釣り合いと動不釣り合い
危険速度
バランスマシーン(島津製作所)
剛性ロータの釣合わせその1
剛性ロータの釣合わせその2
不釣合いの変換
(問題)不釣合いの表現
回転軸の曲げ・ねじり振動、ふれ回り振動、つり
合わせの基礎を学ぶ。
第6章 自励振動
静的安定と動的安定
バイオリンの弦の振動
自励振動のブロック図
振動の分類外力
ベルトコンベアの例
自励振動と運動方程式
自励振動の跡
自励振動の例
問題、解答
流体関連振動
対称渦を伴う同期振動
円柱の渦励振
問題、解答
事例もんじゅ温度計破損の原因推定
事例エアコンエアミックスドア隙間のヒュー音
自励振動のいろいろ
自励振動の基礎と事例を学ぶ。
第7章 振動の絶縁と制御(振動防止)
問題
考え方
① 振動系・振動モデルを描く
② 対策案を考える
振動絶縁(振動遮断)
振動伝達率の性質
問題振動伝達率の性質
現実問題-固有振動数を求める-
振動絶縁材料
防振ゴム
自動車用ゴム部品例
空気バネ
振動絶縁のいろいろ
動吸振器例
動吸振器の例
動吸振器の設置
モードとは
片持ちばりの振動(横振動)
単純支持
計算と実験の差
片持ち梁・ばねの等価質量
回転軸の制振
事例振動モードに着目した設計
動吸振器の理論
参考最適設計
計算例動吸振器の設計
減衰が大きい制振器
粘性ダンパ
鉄道用ダンパ例
鋼板の制振
制振材
アクティブ振動制御
事例:アクティブ振動制御
高層ビル用制振装置三菱重工
問題
計測法・振動試験例
実験モーダル解析
周波数応答関数測定
モーダルパラメータ推定
構造体の定義・モード把握
計測法いろいろ
振動試験
第2部 騒音編
第1章 音の基礎
基礎量と単位、音波の発生・音源の性質など音の基本的な事項を学ぶ。
第2章 騒音問題
騒音問題の発生原因、騒音対策の基本的考え方など騒音問題解決の基礎的事項を学ぶ。