開発人材育成講座

開発設計のありようとレベルアップ

[趣旨]
 今や製造業は100年に一度の変革期に突入した。IoTやAIなど技術の急激な進化は、 ものづくりの世界を劇的に変えつつあります。とはいえ、技術環境がいかに変わろうと、競合 メーカーに対し「優位性」を確保し、お客様の「信頼」を得続けるという、開発設計の基本を理解し、高めなければなりません。
 それには、“設計段階が品質・コストの 80 %を決める ”との現実を踏まえ、相応しい取り組みが求められます。
 その開発設計は、競合メーカーに「優位性」を保つ「先行開発段階」の取り組みと、そのアウトプットを受けお客様の「信頼」を得る「量産設計段階」の取り組みから構成されます。

 本講座は、開発すべき製品や部品を見極める「企画とロードマップ」を最初に取り上げます。
 お客様に選んで頂くため、且つ一個たりとも一件たりとも不具合を出さないことをテーマとして「先行開発と量産設計」を取り上げます。これで基本仕様が決まるので、機能、コストに大きくかかわる仕様を合理的に決めるための、「設計VE手法」を学んでいただきます。
 更に、両設計段階の質を高め、検討不十分な設計へ気づきを得る、「デザインレビュー」、同じ設計の失敗を繰り返さない「過去トラ集を使った未然防止活動」を取り上げます。
 それぞれ、豊富な事例を交え解説します。毎回議論の場を設け理解を深めて頂きます。
 最終回は、まとめとして「構想設計」に挑戦して頂きます。

[日程と題目]

題目
第1回
(約5時間)
開発すべきものを見極める-企画アイデアとロードマップ 【約4時間】

1.新企画アイデアの発想
‐発想の方向を示す4つのベクトル_アンゾフの成長マトリックス
(事例:新技術で新市場を開拓_ナノインプリント技術による超高精度金型)
‐マーケットプル方式による未来発想_ロードマップとの密接な関係
2.アイデアを企画書にまとめる ‐アイデアの着目点(コンセプト)
‐自社の現状分析と市場への期待効果
‐フィージビリティスタディ(技術課題面と事業採算面)
3.未来と繋ぐロードマッピング
‐ロードマップ作成(ロードマッピング)には何が大切か
‐マーケットプル方式でのロードマッピング体感

グループ討議 【約40分】
テーマ:発想したアイデアを企画に繋げるには?(開発業務の実務として)
-ロードマッピングで浮かんだアイデアの中から1件選択し、グループで討議
質疑 【約20分】
第2回
(約5時間)
優位性を確保する-先行開発とお客様の信頼を得る-量産設計【約4時間】
1.はじめに
-本講座の狙い
2.設計の大きな流れ
-商品コンセプトを固める。ロードマップから商品コンセプトを具体化する
-目標値を設定する : 差別化のためのダントツ目標
3.先行開発段階の設計力
顧客ニーズ、システムニーズを正しくつかむ
-ネック技術のめど付けを行う
-コスト/品質の作りこみ
4.特許
-特許制度のあらまし
-特許調査の重要性、web検索の体験
-特許侵害の事例(カメラのオートフォーカス特許侵害事例紹介)
5.量産設計段階の設計力
-工夫された設計プロセス、コンカレント活動
6. 設計力を伸ばす

グループ討議 【約50分】
身近な商品を取り上げ、これをダントツにするための付加機能について、 アイデアを検討し、設計構想をまとめ、G毎に発表する。
質疑 【約10分】
第3回
(約5時間)
機能とコストの対比により最適な価値の確保を目指す設計VE 【約4時間】
1.VE活動の背景
‐VE活動の由来と必要性
‐VEとVAの関係
2.原価管理の活動
‐原価管理とは
‐原価企画活動と改善活動
3.原価計算の進め方
‐原価とは何か
‐原価計算の進め方と原価低減活動
4.VE手法の進め方
‐VE手法の基礎と実施手順
‐機能分析と整理について
‐機能の定義と留意点
5.VEの具体的な展開
‐VE活動計画の策定
‐機能の分析と整理 ‐機能別コスト分析
6.原価改善の事例

グループ討議 【約50分】
ホッチキスをテーマに機能系統図の具体的作成手順について討議する
質疑 【約10分】
第4回
(約5時間)
開発設計のアウトプットを高める“デザインレビュー ” と課題解決に役立つ “なぜなぜ 分析” 【約4時間】

Ⅰ デザインレビュー
1.デザインレビューの役割
‐検討抜けや検討不十分な取り組みへの気づきの場
‐総智、総力を注ぎ、検討議論を見える化する場
2.設計プロセスに組み込まれたデザインレビューの位置づけ
‐初期流動管理指定
‐節目デザインレビューと個別検討会
3.デザインレビューの実施要領
実施要領を具体例を踏まえ詳細に取り上げる
‐DRの種類/ 実施タイミング/ 何を取り上げるのか/ メンバー/ 当日前後の運営/

Ⅱ なぜなぜ分析
1. なぜなぜ分析の狙い
-「技術上」と「管理上」の視点
-原因究明に使うツール
2.なぜなぜ分析の進め方
-技術上の原因究明
-5なぜ
-管理上の真因究明

グループ討議 【約50分】
与えられた課題についてグループ討議形式でなぜなぜ分析を行い、それを発表する
質疑 【約10分】
第5回
(約5時間)
過去トラ集を使ったFMEAの作り方と効果的なDRによる未然防止活動 【約4時間】
1. 品質問題をなくすFMEAとDRの考え方
2.過去トラの集め方、まとめ方
3. 使い易い過去トラ集の具体事例
‐品質問題の分析
‐心配点に気づくための仕組みづくり
-気づく技術力の強化、FMEA,DR活動の道具
 (1)FMEA 辞書
 (2)キーワード集
 (3)マクロ FMEA作成シート
4.未然防止の活動事例
‐試作図面のチェック事例
‐FMEAの作成手順とチェック事例
‐DRでのチェック事例
5. 過去トラ集の管理の仕方
6. ソフト面(ひと、業務管理、ルール)の改善事例
7. 設計品質改善活動の原動力

グループ討議 【約50分】
100円ライターの事例で機能展開を実施しFMEAワークシートを完成
質疑 【約10分】
第6回
(約5時間)
研修まとめ-構想設計を経験する 【約4時間】
1.はじめに
2.ケーススタディ
-システムとその動向の理解
3.グループ演習を通して構想設計を経験する
題材は自動車部品
〔グループ演習 1〕
-システム動向から製品動向を予測
-事業性の判断
-差別化戦略と考え方
〔グループ演習 2〕
-構想設計、コスト他
-開発体制
-大日程計画

発表・まとめ講師講評 【約1時間】
2グループ発表 各20分 講師講評20分