熱処理技術
~材料の高品質・高信頼性確保の為の設計知識~
【対象者】
機械系/電気・電子系/化学系に関わる部門の初心者から中堅技術者
【概要】
電気・電子産業や自動車産業などは多くの材料で支えられています。高品質・高信頼性が確保できているのは熱処理や表面改質のおかげであるといっても過言ではありません。熱処理をよく理解していないと、材料の優れた性質を使いこなせないだけでなく、重大なトラブルを引き起こしてしまうことすらあります。
本研修では、鉄鋼材料・各種金属材料の基礎知識と使用目的を考えた熱処理の選定方法を学ぶと共に、演習及びグループ討議を通じ、実践力をも習得していただくことを狙いとしています。
【目次】
1.熱処理の概要
熱処理は多くの工業材料で用いられているが、基本となるのが鉄鋼材料における熱処理である。本章
では熱処理の概要と熱処理事例を解説する。
(1)熱処理とは
(2)熱処理技術の活用事例 など
2.鉄鋼材料の基礎知識
鉄は他の金属とは大きく異なる “同素変態”という性質を有する。本章では鉄鋼を題材に最も大切な基本
について解説する。
(1)鋼の特性
(2)合金とは
(3)鉄鋼材料の変態とは
(4)鉄-炭素(Fe-C)系平衡状態図とは
(5)鉄鋼組織の観察
(6)等温変態特性(TTT曲線)
(7)連続冷却変態曲線(CCT曲線)
(8)合金元素の分類と作用
3.熱処理の手法と仕組み
鉄鋼材料の熱処理方法には、その材料要求特性に合わせて様々な方法がある。本章では各種設備、焼
きならし、焼入れ、焼き戻しの基本的な方法と理屈を解説する。
(1)熱処理作業の流れ
(2)熱処理設備(加熱炉・温度管理・雰囲気ガス)
(3)焼きなまし
(4)焼きならし
(5)焼入れ
(6)焼き戻し
(7)時効処理と固溶化
(8)残留オーステナイトとサブゼロ処理 など
4.金属材料と熱処理方法
鉄鋼材料は基本となる炭素鋼に、種々の合金元素を入れ、各種要求特性を作り出すことができる。
その各種材料に必要とする特性を付与するのが熱処理である。本章では各種材料の組成、熱処理に
ついて解説する。
(1)鉄・鋼・鋳鉄の違い
(2)鉄鋼の製造方法
(3)鉄鋼材料の呼び名の体系
(4)鋼材中の炭素の役割
(5)各種鋼材と熱処理(機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼、特殊鋼としての工具鋼、ステン
レス鋼、アルミニウム合金、銅合金 ほか)
5.使用目的を考えた熱処理の選定方法
用途によって、高強度、耐疲労性、耐衝撃性、耐遅れ破壊、耐摩耗性など様々な要求特性がある。
この要求特性に対し適正な熱処理方法について解説する。
(1)熱処理の目的
(2)強さを増すには
(3)耐疲労性を向上するには
(4)耐衝撃性を向上するには
(5)耐摩耗性を向上するには
(6)内部応力を除去するには
(7)加工性を向上するには
6.使用目的と後処理を考えた材料の選定方法
機械部品は機能、使用環境、負荷などの条件によって、形状、材質、硬さ、熱処理などが決められる。
本章において、これらの要求仕様に対して適正な材料の選定方法について解説する。
(1)焼入れ性から見た選び方
(2)引張強さから見た選び方
(3)耐疲労性から見た選び方
(4)耐摩耗性から見た選び方
(5)その他―鋼材の特性から見た選び方
7.表面硬化および表面改質法
使用部品の内部の靭性を保ち、表面近くをより硬化して耐摩耗性、疲労強度、耐食性などの特性向上
を図るのが表面硬化法である。本章では概要のみとし、詳細は次の講座「表面処理技術」で解説する。
(1)表面硬化法の基本
(2)熱処理の種類
(3)表面改質の種類
8.熱処理品の品質検査と熱処理の不具合事例
(1)硬さ試験
(2)材料強度の検査
(3)非破壊試験とは
(4)変形特特とは
(5)熱処理のトラブルの種類
(6)不具合事例