トライポロジー
トライボロジー概論(摩擦・摩耗・潤滑)
【対象者】
メカおよびメカトロ関連に従事している若手技術者から中堅技術者
【概要】
多くの機械部品には摺動部が存在し、摺動面の摩擦や摩耗でフリクションロスや部品の摩耗、異音など様々な諸問題が発生しますが、その解消にはトライボロジーを最適制御する必要があります。その為には、摩擦・摩耗・潤滑の原理を理解した上で、最適な摺動部材やその表面処理および潤滑剤の選定、潤滑剤が摺動部材に与える影響等を理解することが求められます。
本研修では、座学と演習を通じて、高品質な摺動部品の設計および取り扱う上で必要なトライボロジーの基礎知識と実践力を習得して頂きます。
【目次】
1)トライボロジーとは
・定義 ・摩擦や摩耗によるトラブル例
2)固体潤滑・・・固体表面どうしの接触を題材に、摩擦・摩耗・潤滑の原理の理解と摩擦の法則の
限界を理解する。
・摩擦、摩耗、潤滑を理解するために ・固体摩擦を引き起こす要因
・アモントン-クーロンの摩擦の法則 ・固体摩擦 ・スティック-スリップ
3)境界潤滑と混合潤滑・・・モデル図を基に混合潤滑の意味と界面での潤滑油の挙動と限界を解説
する。
・境界潤滑と混合潤滑の関係 ・境界層の構造と境界摩擦
・境界摩擦の力学的意味 ・温度、速度、荷重の影響
4)表面の損傷・・・摩耗の種類と摩耗原理と材料の組合せによる悪影響などの解説をする。
・表面損傷と種類 ・摩耗の種類(凝着、アブレッシブ、腐食、疲れ等)
5)潤滑剤・・・液体潤滑油やグリース、固体潤滑剤の特性と課題を解説し、使用する上での留意点を
理解する。
・潤滑油(種類、添加剤、性状) ・グリース(種類、添加剤、性状)
・固体潤滑剤(層状構造、軟質金属、高分子、焼結含油、表面処理)
・潤滑剤の適用例と理由(ギア、電気接点 等)
6)流体潤滑・・・ジャーナル軸受やコンプレッサーなど利用される、相対運動する2物体流体膜で完全
に離れた潤滑状態が得られる原理と留意点を解説する。
・流体潤滑の理論(くさび膜効果、伸縮効果、絞り膜効果)
・レイノルズ方程式限界と修正
7)応用・・・すべり軸受けや転がり軸受の課題と設計上のポイントを解説する。
・すべり軸受と転がり軸受の特徴
・軸受の課題と設計上のポイント
8)事例発表・・・実業務で問題になっているテーマを題材にグループ討議で原因・対策を検討し、DR
を経験する中で実践力を修得する。