金属疲労強度の向上
金属疲労メカニズムと疲労強度の向上技術
【対象者】
開発・設計・品質・生産技術・生産部門の初心者から中堅技術者
【概要】
金属疲労については、橋梁と構築物等マスコミでも取り上げられ、周知されています。しかし機械部品も含め、疲労破壊を設計段階で予測し安全を担保することは現在でも大変難しい課題です。度を超えれば過剰設計となり製品として成立しにくくなります。また、保守点検で早期発見するには高額な費用を要し、加えて早期発見できる保証はありません。金属疲労事故は同じような部品で繰り返し起こっていますので過去の破壊事例に学ぶことが近道ではありますが、これには材料や材料強度に関する幅広い知識が必要です。
本研修では、鉄鋼材料を中心に材料の基礎知識から、疲労強度や疲労強度の向上方法まで、幅広い実例や講師の経験も交え、本質的な技術ポイントを押さえた知識を身につけます。
【目次】
1.導入
(1)金属疲労とは
(2)製品・構造物の破壊形態
(3)疲労破壊事故事例紹介
(4)疲労強度が必要な部品例紹介
(5)代表的金属の強度とその材質的要因
2.結晶構造と強度
(1)金属結合
(2)結晶構造と結晶のすべり面
(3)純金属(完全結晶)の理論せん断応力と実測値との乖離
(4)結晶の欠陥(転位,結晶粒界)と強度
(5)金属の基本的な強度向上方法(転位を動きにくくする方法)
(6)材料強度評価方法および応力
・金属組織観察
・硬さ測定
・引張試験
・応力とは?
・破面観察
3.疲労強度
(1)金属疲労のメカニズム
(2)疲労試験方法
・各種試験機
・試験周波数
(3)疲労強度の表し方と疲労限度および統計的疲労限度の求め方
(4)疲労限度が存在する理由,ギガサイクル疲労
(5)低サイクル疲労と高サイクル疲労について
(6)疲労強度への形状因子の影響
・表面粗さ
・応力集中
・応力勾配
・寸法効果
(7)切欠き係数
(8)疲労き裂の停留と疲労限度
(9)疲労限度線図
(10)実働応力の扱い方
(11)疲労き裂成長の破壊力学的扱い
(12)接触応力による疲労について
(13)き裂(欠陥)の非破壊検査方法
4.疲労強度向上方法と環境因子の影響
(1)疲労強度に及ぼす材料因子の影響
・引張強さ
・硬さ
・介在物
・鋳造材
・溶接部
(2)表面硬化処理による疲労強度向上
・代表的な処理
・圧縮残留応力の効果
(3)疲労強度に及ぼす環境因子の影響(鉄系材料)
(4)疲労強度に及ぼす水素の影響(鉄系材料)
・微量水素の影響(水素ガス環境)